がん治療

がんの現状

日本で最も死亡率の高い病気

日本の3人に1人はがんで亡くなっています。その死亡率は年々増え続けています。
日本の三大疾病と言われる「心疾患・脳血管疾患」は変動があり、死亡率が改善している年も見受けられます。
しかし、がんは右肩上がりで推移し、1981年以降、現在に至るまで死亡率はずっとトップで改善がまったく見られません。

主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移

主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移

抜粋:令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数)の概況より

がんが発症する理由

どんな健康の方でも毎日がん細胞が発生している

ノーベル医学・生理学賞受賞者のフランク・バーネットらの研究によると、どんな健常な方でも、毎日約3,000個のがん細胞が発生しているそうです。
それでも、健常の方ががんを発症しないのは、免疫のシステムが働いて、がん細胞を駆除しているためです。
すなわち、免疫のシステムが衰えてくると、がん細胞を駆除できず、がんを発症してしまいます。
免疫のシステムの衰えは、加齢によるものが多く、高齢者にがん発症者が多い原因の一つとなっています。

がん細胞の特徴

寿命がない

正常の細胞のテロメアは細胞分裂を繰り返す毎に短くなり、細胞分裂が出来なくなる命のローソクのようなものです。しかし、がん細胞は染色体の端にあるテロメアをテロメラーゼで伸ばして、不死化します。

浸潤する

がん細胞は直接まわりの組織に浸み込むように広がり(組織浸潤)します。手術の際には、安全域を見込んで、がんと周囲組織も切り取ります。

転移する

がん細胞は、もとの組織から離れて、リンパ管や血管を経て飛火(組織転移)します。転移は、がんを直しにくい原因の一つとなっています。

嫌気性

ミトコンドリアが少ないことから、エネルギー生産が低酸素呼吸の解糖系に由来し、グルコース(糖)を栄養源にします。

標準治療

標準治療(三大療法)

病院でがんと診断された時、がんの状態に合わせて医師が治療法を決めます。
現在は、各臓器のがんに対しての治療ガイドラインが定められており、そのほとんどが手術、放射線療法、化学療法の組み合わせになっています。
各療法にはメリットがあり、それを組み合わせることにより最適ながん治療となりますが、共通して肉体的苦痛が伴い生活の質(QOL:Quality Of Life)が低下します。

手術療法 メリット
がんが早期で原発巣だけあれば、効果がある
デメリット
転移巣がある場合は、限界がある。また手術により周りの正常臓器を傷つけるので免疫力が著しく減弱する
放射線療法 メリット
脳腫瘍・骨転移には有効。手術によらず照射できるので、患者さんの負担が少なく有効。
外来での治療ができる。
デメリット
放射線は正常細胞をも通過するためがん細胞だけではなく、正常細胞も破壊され、副作用に悩まされることになる。
化学療法 メリット
白血病などの血液のがんに関しては、かなり効果をあげている。
外来での治療ができる。
デメリット
正常細胞までも殺すことがあり、副作用が強く、患者さんに苦痛をもたらし、生活の質(QOL)が低下する。

がん難民

がん治療は全ての患者さんが根治するわけではありません。
患者さんの中には、標準治療を駆使したが、改善の余地がみられない方もいらっしゃいます。
その際、医師は患者さんに対して「もう治療法がありません。緩和治療をおすすめいたします。」と宣告します。
また、副作用に耐え切れず、治療を拒否した際も、医師に同様のことを言われる可能性もあります。
一方、患者さん側でも、治療説明や治療方針に不満や不納得を感じる方がいます。
このような患者さんをがん難民と呼び、副作用がなく、日常生活ができ、延命効果がある体に優しい治療法が模索されています。
そこで、第4の治療法として、注目されるのが免疫細胞療法です。

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