再生医療新法

再生医療の概要

再生医療とは、細胞を加工し、体内に移植・移入し、傷ついた臓器や組織を回復させる医療です。そのため、自らの細胞で臓器や組織の回復ができ、これまで治療が困難だった疾患や障害も、対応できると考えられています。臓器移植と違い、自らの細胞から臓器や組織を作り出すため、再生医療はドナー(臓器提供者)が不足していても治療可能です。

幹細胞は再生医療の肝となる細胞で、二つの能力があります。まず、さまざまな細胞に分化できる「多分化能」を持っています。次に、自分の細胞を忠実にコピーできる「自己複製」の能力があることも特徴です。

通常、健康な人の体内では幹細胞が分裂して、臓器や組織が作られています。幹細胞にはいくつかの種類があり、血球細胞やリンパ球などのもとになる「造血幹細胞」、骨格筋を再生する「筋肉幹細胞」など、作る組織が異なります。

現在、再生医療は火傷をしたときの皮膚移植手術などに用いられています。また、近い将来、再生医療のしくみを利用し、心血管病のように高度な治療ができるのではないかと期待されています。

再生医療の歴史と法制化の流れ

再生医療は、すでに数十年の歴史がある医療です。1980年代以降、再生医療はすでに臨床研究が始まっていました。皮膚を培養する移植手術は、アメリカでは1983年、日本でも1985年に行われ、実用段階に入ってから数十年経過しています。

21世紀になると再生医療の臨床研究が進み、2006年には厚生労働省が「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」を告示しました。また、2010年3月の医政局長通知「医療機関における自家細胞・組織を用いた再生・細胞医療」という通達が出されています。幹細胞についての指針を見てみましょう。

    1. 1.幹細胞技術を用いた臨床研究は、人体への影響が未知数です。そのため、盤石の医療体制が構築されている医療機関での実施が求められます。
    2. 2.厚生労働大臣は、再生医療の実施計画の適合性を審査し、実施について研究機関の長に対して意見を述べるものとします。
    3. 3.厚生労働大臣は、倫理的、科学的観点から、厚生科学審議会の意見を聞き、臨床研究の新規事項の適合性を判断します。

再生医療等の安全性の確保等に関する法律

2013年5月、「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けるための総合的な施策の推進に関する法律」が定められ、公布され、2014年11月25日に施行されました。この法律は、世界に先駆けた再生医療の研究開発および実用化、普及が目的です。

これにより、適正な再生医療を提供すべく、インフォームド・コンセントや個人情報保護の措置の徹底が求められることとなりました。定期的に厚生労働大臣が再生医療の実施状況を把握し、その概要について公表することも義務付けられています。

さらに、法律上、再生医療等技術の定義は、細胞加工物により「臓器や機能の修復、形成」または「疾病の治療、予防」を行う技術だと定められています。このうち、人の生命および健康に与えるリスクの度合いから、第一種から第三種に分類されます。

  • 第一種再生医療等技術

    リスクが高く、相当の注意をしても人体に重大な影響を与えることが懸念されるため、安全性の確保等の措置を定めるものです。例として、iPS細胞やES細胞などによる再生医療技術を指します。

  • 第二種再生医療等技術

    人体に影響を与えるリスクが高く、安全性確保のための措置が求められる再生医療技術を指します。たとえば、体性幹細胞などによる医療技術を指します。

  • 第三種再生医療等技術

    リスクが高くないと考えられる再生医療技術を指します。免疫細胞療法は、リスクが低いことから第三種再生医療等技術に該当します。

なお、今回の法律施行に伴い、管轄の地方厚生局に細胞培養加工施設の認可・認定・届出が義務付けられました。細胞培養加工施設の遵守事項は、「構造設備基準(第42条)」「製造管理・品質管理等の基準(第44条)」を満たさなければなりません。