CTC検査

血中循環腫瘍細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)

検査の目的

進行がんや転移がんの患者では、がん細胞が血液中に入り、体内を循環していることが知られています。このようながん細胞を「Circulating Tumor Cells(血中循環腫瘍細胞):CTC」と称し、CTC検査は血液中を循環しているがん細胞を検出する方法です。
がんの転移や治療効果の指標としてのCTC検査は、画像検査では見えない微細ながん(6mm以下)も検出可能なことから、超早期がんの発見にも期待できます。

検査の目的

検査方法

患者血液7.5ml中のがん細胞をフローサイトメトリー法により測定します。
フローサイトメトリー法は、免疫反応(鍵と鍵穴の関係)を利用した方法で、がん細胞(鍵穴)の目印(特異抗原)に対するタンパク質(鍵)に色素を着け、タンパク質(鍵)と反応したがん細胞(鍵穴)を検出する方法です。
本検査においてフローサイトメトリーで検出する目印(抗原)は下記の通りです。

抗原 説明
CD45 大部分の白血球(リンパ球、単球および好酸球を含む)の細胞表面に存在します。本検査においては、白血球の選別(CD45ディプリーション法)のための標識として用います。
EpCAM 上皮細胞接着分子(epithelial cell adhesion molecule)のことで、主に上皮の基底膜に発現します。正常な上皮では弱く発現しますが、増殖と間葉系の移行と相関して発現が増加します。非上皮由来の癌細胞は発現しませんが、循環している転移性癌細胞の診断マーカーとして有用です。
Cytokeratin サイトケラチンは上皮細胞の細胞骨格を成す蛋白質で、約20種類のサブタイプの組み合わせによって、上皮細胞を分類することができます。この組み合わせで上皮性悪性腫瘍細胞の表現マーカーとして用います。
Vimentin 間葉系細胞に特有の細胞骨格を成す蛋白質で、上皮細胞での発現は弱い。上皮性悪性腫瘍細胞は間葉系細胞に形態変化する(EMT: Epithelial-Mesenchymal Transition)ことが知られており、本検査においてはこの間葉系細胞に形態変化した腫瘍細胞も検出するためのマーカーとして用います。

血中循環腫瘍細胞(CTC)検査

血中循環腫瘍細胞(CTC)は、白血球の目印であるCD45を発現していない細胞で、がん細胞の目印であるEpCAMとCytokeratinの両方を発現している細胞と定義されています。ところが、これまでのCTCの研究において、EpCAMを発現しない「CTC」(例えば、上皮間葉転換(EMT)を起こしたがん細胞など)が存在することが報告されています。そのため、従来法であるEpCAMエンリッチ法(抗EpCAM抗体でがん細胞を捕捉する方法)では、未発現CTCを見逃しているという報告があります。そこで、弊社ではCD45抗体マイクロ磁気ビーズを使用して、白血球の目印であるCD45を発現している細胞を枯渇させ、その他の細胞を濃縮して、CTCやEMTを起こしたがん細胞を見逃すことなく検出するMACS CD45 depletion法を用いています。 CTC検査は、現存のPET、X線などの画像診断、腫瘍マーカーのPSA、CA125、CA15-3 に比べさらに早い段階でがんを発見する可能性があるとされております。

  • 血中循環腫瘍細胞( Circulating Tumor Cell:CTC )とは

    進行したがんでは、がん細胞ががん組織から遊離して血液中を流れていることが知られています。このように血液中を循環しているがん細胞を血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)と言います。 がん細胞は、成長が早く一定の大きさに成長すると血管を自らがん組織内に誘導し、十分な酸素と栄養を得てさらに成長します。ついには血管内に細胞が入り込み、血中に流れ込むと考えられています。この血液中を循環するCTCを検査することにより、いち早く微細がんを見つける事ができます。

  • 上皮間葉転換 (Epithelial - Mesenchymal Transition:EMT)とは

    がん細胞は、浸潤や転移するとき、上皮細胞としての形態や周囲細胞との細胞接着機能を失い、移動し、他の組織内に入り込む能力を得る「上皮間葉転換 (Epithelial - Mesenchymal Transition:EMT)」という現象を起こします。がんの「転移」と「再発」という、がん治療の最も重要な課題に深く関与する現象であると考えられています。

  • 微細がんとは

    固形がんはPET、MRI、CT、エコー、X線等の画像検査で陰影として発見され、病理組織検査により確定診断されます。画像検査では7mm以下のがんの検出が難しく、血液の腫瘍マーカー検査もがんの確定診断には至りません。一方、早期がんと呼ばれる10mm程の大きさに増殖するまでに約10年以上もの長い歳月を要するといわれています。近年、大きさが7mm以下の微細ながんの時期からCTCが血液中に存在していることが報告されました。 微細がんは、超早期がんの原発部位や転移したばかりのがんです。CTC検査は、間接的検査の腫瘍マーカー検査と異なり、直接がん細胞を見つけるので、早期に微細がんを見つけることが期待されています。

CTC(血中循環腫瘍細胞)検査の説明

検査結果の見方

検査報告は下表のように示されます。

CTCの種類 CD45 EpCAM Cytokeratin Vimentin 細胞数(/7.5ml)
Type.1 CTC(血中循環腫瘍細胞) (−) (+) (+) (−)
Type.2 EMTの可能性があるCTC (−) (− or +) (− or +) (+)
  • 1. CD45は白血球に特有の目印です。
    本検査においては、検査に障害となるC D45陽性の細胞(白血球)を選別・除去して残りの細胞を検査します。従って、検査が間違いない場合に(-)の判定となります。

  • 2. Type.1とType.2の両方ともがん細胞を表します。

    Type.1:CTC(血中循環腫瘍細胞)
    ⇒CD45(-)、EpCAM(+)、Cytokeratin(+)、Vimentin(-)の組み合わせのみです。
    *上皮系のがん細胞の存在を表します。


    Type.2:EMTの可能性があるCTC
    ⇒CD45(-)、Vimentin(+)が必須条件。EpCAMとCytokeratinの(-)又は(+)は関与しません。
    *上皮系のがん細胞が浸潤・転移するとき、間葉系細胞(骨、神経、筋肉、血管などに分布する細胞の性質を得て移動する「上皮間葉転換 (Epithelial to Mesenchymal Transition, EMT)」
    のパターンを示す細胞で、がん転移の際などにみられます。

検査結果の判断

EpCAM とCytokeratinの両方が(+)の細胞(Type.1)やVimentinが(+)の細胞(Type.2)を1個でも検出したら、がん発症の疑い、がん転移の可能性があります。また検査において、がん細胞がなくても、微細がんを100%否定することはできません。年に一度はCTC検査を受けることが、がんの再発予知やがん発症を免疫療法等で予防する事になります。